SEO外注の契約前チェックは、社内準備・商談・契約書の3フェーズに分かれます。多くのトラブルは契約書の読み込み不足ではなく、社内で目的と担当を決めないまま商談に入ったことが原因です。この記事では各フェーズの確認項目と、質問に対する回答の良し悪しを判定する基準をまとめます。
先に結論
- 商談前に社内で6項目を固める。ここが曖昧だと見積もりを比較できない
- 商談では8つの質問を投げ、回答の具体性で実力を判定する
- 契約書は9つの条項名で確認する。特に自動更新条項と中途解約条件
- 成果物の著作権と再委託の可否は、書面に残さないと後で揉める
- 長期契約の前に記事1本または簡易診断を単発で発注し、対応の質を測る
契約前の確認は3フェーズに分かれる|社内準備・商談・契約書
要点:契約前の確認は社内準備・商談・契約書の3フェーズに分かれ、順番を守らないと見積もりの比較ができなくなります。
| フェーズ | 期間の目安 | やること | ここを飛ばすと |
|---|---|---|---|
| 1 社内準備 | 1〜3日 | 目的・対象ページ・予算・担当者を決める | 各社の提案範囲がバラバラになり比較不能 |
| 2 商談 | 2〜5日 | 3社に同じ条件を伝えて質問する | 営業トークの印象で決めてしまう |
| 3 契約書 | 3〜7日 | 条項名で1つずつ確かめる | 解約できない、制作物を持ち出せない |
フェーズ1を省いて商談に入る企業が多く、これが最大の失敗要因です。「SEOをお願いしたい」だけで問い合わせると、各社が独自の前提で提案してくるため、金額だけを見比べる状態になります。
フェーズ1 社内準備|商談前に固める6項目
要点:社内準備で固める6項目は、目的・対象ページ・予算上限・社内担当・提供できる情報・判断者です。
- 目的:問い合わせ増か、資料請求増か、指名検索の獲得か。順位ではなく事業指標で書く
- 対象ページ:売上に近い5〜10ページを名指しする
- 予算上限:月額と初期費用の上限を数字で決める
- 社内担当:記事確認・実装承認・情報提供の3役を誰が持つか
- 提供できる情報:サービス資料、導入事例、営業で多い質問、避けたい表現
- 判断者:契約の最終決裁者と、月次の方向性を決める人
この6項目を1枚の紙にまとめて、3社に同じものを渡します。これだけで提案の質の差がはっきり出ます。事前調査をせず汎用資料だけで提案してくる会社は、契約後も汎用的な作業に留まる傾向があります。
あわせて現状データを揃えます。Search Consoleの直近6か月の表示回数とクリック数、GA4のコンバージョン数、主要キーワードの現在順位です。この3つがないと、初期診断の精度が落ちます。
フェーズ2 商談|質問例と回答の見極め方
要点:商談での質問は8つに絞り、回答の具体性で見極めます。断定の強さではなく前提条件の説明量を見ます。
| 質問 | 良い回答 | 注意すべき回答 |
|---|---|---|
| 当社サイトで最初に見るデータは何ですか | 具体的なページ名やクエリを挙げる | 「まず全体を診断します」だけ |
| 最初の90日の作業内容を教えてください | 月ごとの成果物と当社側の作業も示す | 「状況を見ながら進めます」 |
| 実装作業はどちらが行いますか | 提案のみか実装込みかを明言する | 「柔軟に対応します」 |
| 優先順位はどう決めますか | 影響度と工数の判断軸を説明する | 「経験に基づいて判断します」 |
| 被リンクはどう獲得しますか | コンテンツ経由や取材経由と説明する | 「独自の手法があります」 |
| 順位以外に何を報告しますか | クリック数や問い合わせ数を挙げる | 順位一覧のみ |
| 想定どおり進まない場合は何を変えますか | 見直す順番を具体的に述べる | 「必ず成果を出します」 |
| 契約終了時に何を引き継げますか | 記事・分析資料・アカウント権限を明示 | 回答が曖昧 |
「独自の手法」「詳しくは言えない」という回答は要注意です。Googleのガイドラインに反する手法を使っていた場合、一時的に順位が上がってもペナルティを受け、解除に数か月から1年以上かかることがあります。説明できない手法は採用しない方が安全です。
専門用語を多く使うことと、専門性が高いことは別です。担当者が経営者にも分かる言葉で施策の目的とリスクを説明できるかを見ます。
フェーズ3 契約書|条項名で確認する9項目
要点:契約書は9つの条項名で確認します。中でも自動更新条項と中途解約条件が後の揉め事につながります。
| 条項名 | 確かめる内容 | 目安 |
|---|---|---|
| 契約期間 | 最低契約期間の長さ | 6〜12か月が多い |
| 自動更新条項 | 更新の有無と停止の申し出期限 | 期限切れで1年延長される例あり |
| 中途解約 | 解約予告の必要日数と違約金 | 予告1〜3か月前 |
| 業務範囲 | 成果物の名称と数量 | 「一式」表記は要分解 |
| 修正回数 | 無償修正の上限と追加単価 | 記事1本あたり2回程度 |
| 著作権 | 記事や画像の権利が発注側に移るか | 譲渡か使用許諾かを明記 |
| 再委託 | 外部ライターへの委託の可否 | 可の場合は品質責任の所在 |
| 秘密保持 | 対象情報と有効期間 | 契約終了後も継続するか |
| 支払条件 | 締め日と支払サイト | 月末締め翌月末払いが一般的 |
特に見落としやすいのが著作権です。「納品」と書かれていても権利が移転していない契約は珍しくありません。権利が移っていないと、契約終了後に記事を書き換えたり他社に引き継いだりできなくなります。
自動更新条項も注意が必要です。解約の申し出期限を過ぎると自動的に契約が延長される形になっており、気づいた時点で半年以上の支払いが確定しているケースがあります。署名前に法務担当者に読んでもらうと安全です。
見積書を比較する4つの分解軸
要点:見積書は調査・制作・実装・レポートの4軸に分解して比較します。月額の総額だけを並べても差が見えません。
- 調査:初期診断の対象ページ数、競合分析の社数、キーワード調査の語数
- 制作:記事本数、1本あたりの文字数、構成と執筆と編集の担当
- 実装:タイトル修正やリダイレクト設定を誰が行うか
- レポート:月次レポートの指標、定例会の回数、改善提案の有無
4軸に分解すると、同じ月額30万円でも中身が大きく違うことが分かります。記事4本だけの会社と、診断とレポートを含む会社では役割が別です。AhrefsやSemrushなどのツール費用が月額に含まれるかも確かめておきます。
契約前のお試し発注|1本だけ頼んで判断する
要点:お試し発注は記事1本または簡易診断を単発で頼み、成果物ではなく対応の質を判断する方法です。
いきなり6か月契約を結ぶ前に、単発で仕事を頼む方法があります。記事1本の制作か、5ページ程度の簡易診断が適しています。費用は3万〜20万円程度で収まります。
お試しで見るのは記事の出来だけではありません。次の5点です。
- 依頼から初稿までの日数と、遅れる場合の連絡の有無
- 質問の質。事業や顧客について踏み込んで聞いてくるか
- 修正依頼への反応。意図を汲むか、指示待ちか
- 納品物の形式。入稿しやすい形か、手直しが必要か
- 提案の有無。頼んでいない改善点に気づくか
この5点は長期契約に入ると変えにくい部分です。数万円で相性を測れるなら、投資として合理的です。
契約後に揉めやすい5つの論点
要点:契約後に揉める論点は、成果定義・作業量・確認遅延・追加費用・引き継ぎの5つに集まります。
- 成果定義:「順位が上がった」の基準が曖昧。何位を何キーワードで、いつ測るかを決める
- 作業量:月額に対する稼働時間が不明。記事本数や工数の下限を書面に残す
- 確認遅延:社内の確認が止まり公開が遅れる。確認期限を営業日で決める
- 追加費用:「これは範囲外です」の判断が食い違う。範囲外の例を3つ以上挙げてもらう
- 引き継ぎ:解約時にデータを渡さない。返却物の一覧を契約書に添付する
これらは契約後に交渉すると立場が弱くなります。署名前に1つずつ書面化しておくと、後から議論する必要がなくなります。月1回以上の進捗ミーティングを設定し、方向性のずれを早めに見つける体制も有効です。
よくある質問
契約書のひな形は先方のものを使ってよいですか
使って構いませんが、自動更新条項・中途解約・著作権・再委託の4点は必ず読み込んでください。この4つは受注側に有利に書かれていることが多い項目です。修正の申し入れ自体は商談段階で一般的に行われます。応じない会社は取引の柔軟性が低いと判断できます。
相見積もりは何社が適切ですか
3社が現実的です。2社では相場感がつかめず、5社を超えると比較作業に時間がかかります。重要なのは社数より条件を揃えることです。フェーズ1で作った6項目の資料を全社に同じ形で渡してください。
成果報酬型なら契約前の確認は少なくて済みますか
むしろ増えます。対象キーワードの選定基準、成果の測定方法、測定ツール、課金の起点日を追加で確かめる必要があります。達成しやすいキーワードが対象に選ばれていないか、検索ボリュームを自分で調べておくと判断できます。
契約期間はどのくらいが妥当ですか
6か月が一つの目安です。技術修正は1〜2か月で終わることもありますが、コンテンツの評価が検索結果に反映されるには時間がかかります。ただし期間の長さより、解約予告の日数と違約金の有無を先に見てください。12か月契約でも1か月前予告で解約できるなら、実質的な拘束は短くなります。
まとめ
SEO外注の契約前チェックは、社内で6項目を固め、商談で8つの質問を投げ、契約書を9つの条項名で確かめる流れです。フェーズ1を飛ばすと見積もりの比較ができなくなるため、順番を守ってください。長期契約に不安があれば、記事1本のお試し発注で対応の質を先に測る方法もあります。
Rank-Quest SEO対策
契約前に支援範囲と作業内容を細かく確認したい場合の相談先の一つです。条項の書き方や解約条件は各社で異なるため、見積書と契約書のひな形を複数社から取り寄せて比較してください。


